5月16日
いつからだろう…
これほどまでに魅了されるのは。
19時を回る頃、
空腹と共に襲ってくる衝動に駆られる事がある。
ただの空腹とは違い、ただ唯一の“それ”でなければ埋められない空間。
きっと純粋な腹の減りだけでなくて、もっと心の奥底の深い精神的な部分に根付いてしまっているのだろう。
いわゆる“アルコール中毒”や“ニコチン中毒”
嗜好品のそれとなんら差はないのであろう。
確かに食事ではあるが、麺による大量の糖質とスープによる塩分と脂質の濃厚カクテルを体内に取り込む事が健康にいいはずが無い。
そう考えるといつも、食事とは違う何か別ジャンルのものとして自分の中では位置付けられている気がする。
そういう意味では麻薬。
まさに自分にとっての禁断症状と戦わなくてはならないのだ。
これに打ち勝つのは決して容易ではなく、
どうしても我慢ならずにあの味、香り、一杯を求めに店へと足を運んでしまう。
この上ない満足感と腹の満ち足りた感覚。
最上級の至福の時を舌と胃袋だけでなく全身で感じることが出来る。
それと引き換えにやってくる、多少の胃もたれと苦しさ。
若干の後悔に向き合いながらその日を過ごす。
『どうして………』
その想いを腹に納め家路につく。
この両極端な二つの感情の大きなうねりを感じながら、人の二面性を度々感じる事がある。
天使と悪魔
それぞれの囁き
健康と不健康
二つの交差点
理性と欲望
感情の天秤
この端から端への揺さぶりを終始受けながら、体験は終わる。
眠りとともに。
翌朝、何事も無かったかのように新しい1日は始まる。
昨夜の事は夢だったのだろうか?
そう思えるくらい、あの感情の大きな渦は跡形もなく消え去り朝は来る。
いつもとは違う、胃袋に感じる僅かな疲労を残しながら。
5月26日
種類は多岐にわたる。
醤油、豚骨、塩、味噌というベーシック。
それらに魚介や海老や鶏だしなどのミックスだけでなく、カレー、トマトなどの変わり種。
家系、二郎系、九州とんこつなどのジャンル等も。
夜空に輝く綺羅星のように、ひとつひとつが光を放ちながら人々を魅了して止まない。
それは味のみにならず、食べ方。
“つけ”はたまた“汁なし”もまた旨し。
夏限定冷やし中華風“冷やし”
台湾風“まぜそば”
無限の可能性を秘め、広がりはまさに銀河系。
口にすすり込む瞬間、味覚のビックバンが訪れる。
それぞれの小宇宙を駆け巡り、
星から星
味から味への旅は続く。
果てのない、終わり無き旅。
また、丼脇の“衛星”も見逃せないひとつの星。
シンプルな構成の中に、
焼豚などの主役に勝るとも劣らない名脇役をメインに掲げたそれはまさしくアカデミー助演賞。
レッドカーペットを歩くのに遜色ないムービースターの名演技に舌を踊らせる。
口の中いっぱいに広がる、
主役、名脇役の豪華な共演こそ全◯No. 1ヒットの超大作。
オスカー間違い無しのハーモニー。
6月5日
待ち焦がれていた店が空いてなかった時の衝撃、
これほどに強いショックは無い。
足を運ぶと決めた瞬間に入るスイッチ。
口、舌、食道、胃袋。
その他全身のシフトが切り替わった状態での、
臨時休業や閉店時間の繰り上がり。
深い闇
絶望
打ちひしがれながらも一歩
また一歩を踏み出しながら少しずつ
現実と向き合い始める。
目当ての店が閉まっていた悲劇。
しかしながら
一度切り替わった身体は抑えられるはずもなく、
新たな道を模索し始める。
この時間ならばと、
僅かな光を求めて他の店を探し求める。
やがて暗いトンネルの先の微かな灯りへと辿り着く。
助かった。
鹿島田に旨い店が幾つかあって救われた。
こうして終わりを告げる、激動の一夜。
6月6日
No. 1より
Only one
スマホの検索に並んだ
いろんな店を見ていた
人それぞれ好みはあるけど
どれもみんな旨い店
この中でどこが一番だなんて
争うこともしないで
どんぶりの中誇らしげに
しゃんと麺を張っている
それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる?
一杯一杯違うのにその中で
一番を決めたがる?
そうさ僕らは………
“ただのラーメン好き”
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